デジタルサイネージと最新テクノロジー

デジタルサイネージは通常のモニターディスプレイにメディア・プレイヤーや
配信プログラミングソフト、ネットワーク機能など、映像技術がいっぱい詰まっている、
それ単体でも、充分にデジタル・テクノロジーの固まりであると思う。
ここでは近年開発されたテクノロジー、インタラクティブやタッチパネル、ARやAIなど、
すでにデジタルサイネージに採用されている技術、今後採用される技術など、
デジタルサイネージにまつわる新たなテクノロジーの可能性を探ります。


ブログ#026 デジタルサイネージと5G

最近5Gという言葉を多く聞くようになった。新たな通信テクノロジーの名称である。5Gの「G」とはGeneration=世代の略で、つまり5Gとは“第5世代“を意味し、より正確には「第5世代移動通信システム」となる。当然これまで1G(1985年開始)から現行の4G(2015年開始)まで様々な歴史があるが、この5Gが飛躍的な進化を遂げるらしい。5Gno特徴は大きく3点。1つめは速度で、現行の4Gno20倍から200倍というから超高速だ。2時間以上の映画が数秒でダウンロードできるという。4Kや8kの高画質映像もリアル配信できる。2つめは,多数同時接続でこれも10倍になる。専門的なことは省くが、今で言うと10万人に同時配信していたネット中継が100万人に配信できるようになる。今はテレワークやネット会議・ネット飲み会など、インターネット回線がパンクして繋がらない事が多くなって来ている。この状況がしばらくは続く見込みなので5Gはありがたいことでもある。3つめは超低遅延である。「遅延」とは通信回線により画像表示の遅れである。5Gになればコンサートのライブ配信なども体感レベルで感じなくなると言う。超低遅延は車の自動運転や遠隔医療の分野での活躍が期待されている。エンターテイメントでも5Gを利用したバンド演奏なども流行りそうだ。簡単に5Gの可能性を書いたが、すでに世界では5Gを導入している国も多くある。日本でも2020年春頃から5Gのサービスが開始される予定である。この5Gというテクノロジーの可能性は、もちろんデジタルサイネージのコンテンツ配信にも役立つことは間違いないだろうし、映像関係のデータは重いので送信時間が短縮できることはありがたい。しまし今は、新型コロナ・ウイルスの拡散を止め、収束に向かうツールとして、そして医療の最前線でウイルスと戦い続けている医療関係者の負担が少しでも軽減出来る事を最優先に使われることを切に望む。

May 2nd, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#028 デジタルサイネージとAR

ARのテクノロジーが脚光を浴びたのは数年前になるが、最近ではAIに押されて影が薄くなっている気もするが、まだまだ可能性のあるテクノロジーである。AR(Augmented Reality)とは「拡張現実」と呼び、実在する様々な情報にデジタル化された架空の情報をプラスした状態を意味する。デジタル化された情報というのは、動画、静止画、文字情報、音声などが代表的だ。これに対しAIとは簡単言えば人工知能だ。AIの詳細については後日書こうと思う。ARの成功した代表的なプロジェクトは2016年に流行したスマートフォンのGPSとカメラ機能とを活用したAR型のゲーム「ポケモンGO」であろう。私の回りでも老若男女と問わずはまっていた。ちなみに私はやっていない。そしてデジタルサイネージにもAR技術は採用されている。それまでの動画や画像の表示のみだったデジタルサイネージにAR技術を取り入れられることで、より多くの人の注目を集め集客や販促の効果が上がってきているというデータもある。たとえば、アパレル関係でカメラがつけられたモニター画面の前に立つだけで、選んだ服の試着ができるデジタルサイネージ。着物やドレスなど、試着に時間がかかる衣類であっても画面の前に立つだけでイメージがわかるので、ブライダルサービスなどにも導入されている。また、インタラクティブなデジタルサイネージも登場しており、モニターディスプレイの前で身体を動かすことで、顔認識、行動認識といった技術を利用し、映像の中の人間の動きに合わせて何らかの映像をリンクさせ、まるで自分が映像を動かしているような錯覚を与える。このようなデジタルサイネージはテーマパークやショッピングモールのエントランスなどで、話題作りや集約に効果があるだろう。AR技術を取り入れることで、デジタルサイネージはより一層、人々の興味や関心をひくものになっていくことでしょう。今後は、匂いや質感といった情報を持つAR技術など日進月歩の勢いで発展しており、AR技術を取り入れることで、デジタルサイネージはより一層、人々の興味や関心をひくアイテムになっていくことであろう。ピクトパスカルでもARを導入したデジタルサイネージのコンテンツを制作する技術はあるのだが、時間とお金がないので今は着手しない。大企業が出資してくれるなら話は別だが期待はしていない。

May 15th, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#029 デジタルサイネージとAI

今、注目を集めている最新のテクノロジーであるAI(Artificial Intelligence)とは、人間の認知や行動、判断の一部をソフトウェアが分析して人工的に再現したものをいう。多くの情報から学び、新たな情報入力に順応することを蓄積して、まるで人間が行うように柔軟かつ、最適な振る舞いを高効率に実現できるという。では、このAIをデジタルサイネージに導入したらどんな事が可能になるのだろうか。今まではプログラムベースで表示していたコンテンツを、人間の属性(人間が持つ情報)に応じて変化するコンテンツ、データ解析による新たなコンテンツの発信、音声認識によるコミュニケーションなど、今までにないデジタルサイネージのあり方を創造することが出来るはずだ。テクノロジー的には「キャプチャリング」「セグメンテーション」「オートメーション」の大きく3つに分かれている。キャプチャリングは視覚センサーで、デジタルサイネージを見ている人や店のウインドのカメラなので、店に入る時に自動的に性別、年齢、感情などをキャプチャリングして、データベース化していく技術だ。セグメンテーションは様々なセンサーにより集められた情報を、決められたルールに則ってAIが自動的にセグメントし、ターゲットに合わせて行動する技術で、様々な分野に応じて、顧客ごとに適すると思われる的確な情報を提供することが可能になる。オートメーションはAIで個々の見込み顧客が持つ価値を予測し、その価値に準じて点数化することで、ユーザーの意志に沿った情報や改善点の提案などが行えるという。具体的にはセンサーで年齢・性別を自動判定し、セグメントされた広告を動的に表示する。受付のデジタルサイネージでお客様の顔を認識・認証を行う。監視カメラの映像を認識分析し、不審者の検出を行う。表情分析により表示されているコンテンツへの人間の反応をデータ化する。超音波やミリ波センサーの情報を活用し、AIによる自動制御・交通予測などを行う。複数台のデジタルサイネージの情報、Beacon等の情報、お店のリアルタイム空席情報等から得られるデータを解析し、複数のお客様にとって訴求力のあるコンテンツを提供することができる。ディスプレイに向かって話しかけると、音声での対話を可能とする。話された言葉はどの国の言葉かを自動判定し、その国の言葉に変換してコンテンツを表示することがでるなど、デジタルサイネージの可能性は大きく広がる。しかし私の持論だが、どんなにテクノロジーが発展しようと人にとって有意義なコンテンツを配信しなければ意味はない。技術を生かすも殺すも作り手の人間性が全てである事は、これからの時代も変わらないであろう。

May 22th, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#054 デジタルサイネージ用有機ELディスプレイ

先日、有機ELディスプレイを開発しているメーカー様からお誘いを受けて、開発中のディスプレイのデモと、有機ELディスプレイを活用した新たな空間創出の可能性を討議させて頂いた。今、一般のディスプレイの主流は「液晶パネル」である。液晶パネルはLEDなどの「バックライト」から光を放出し、「液晶」で明るさを調整。調整された光が「RBGのカラーフィルター」を通ることで映像が表示される。特徴としては、映像が明るく、色々なサイズのモニターを生産しやすい。課題としてはバックライトの光漏れによる黒の表現と、パーツが多いため薄型化と軽量化に限界がある。それに比べて「有機ELパネル」は「自発行方式」で、発光材料にジアミン、アントラセン、金属錯体などの有機物を使用するらしい。私にはまったく未知の世界であるが、特徴としては、1画素ごとに明るさを調整できるので、「完全な黒」を表現できる事と構造が単純なので薄型化と軽量化が可能となる。見せて頂いた24インチの有機ELディスプレイは厚みが6mmで重さは489gであったのには驚かされた。そして画質面だが、ディスプレイのクオリティーを決める要素は大きく3つで、「コントラスト比」「色域」「対応速度」である。「コントラスト比」はモニターの輝度(明るさ)を表し、「500:1」など、白(最高輝度)と黒(最小輝度)の輝度比で表示される。液晶ディスプレイが1000:1なのに対し、有機ELディスプレイは、1.000.000:1。何と1000倍である。「色域」は人間の目で認識可能な色の範囲の中で、さらに特定の色の範囲を定めたものだ。これはちょっと複雑なので、簡単には説明できないが、 有機雄ELは液晶よりも約1.2近い「高色域」を表示させることが出来る。そして「対応速度」。これも簡単に言うと、液晶パネルの各画素の表示切り替え速度を示し、通常は「黒→白→黒」の表示時間を「応答速度」として、単位はms(1000分の1秒)で表している。一般には数値が小さいほど、映像の切り替えが早く、残像の少ない鮮明な映像になる。液晶ディディスプレイの最速クラスは1msや2msが存在する。そして、有機雄ELは、なんと0.1msである。以上の3点から比較しても、有機雄ELディスプレイのクオリティーの高さは実証済みだ、難点はただ一つ「高価」な事だけである。そしてこの素晴らしいディスプレイを使った空間創出であるが、すみません。企業秘密なのでここでは書けません。ただ今回この機会を頂いて思ったことは、日本のディスプレイ開発のテクノロジーの高さである。完全国内生産で製造する事も含め、以前「世界の亀山」と称されたシャープの液晶を超える、新たなブランドが誕生したと言っても過言ではないであろう。私としても、この素晴らしいディスプレイに負けない映像コンテンツを制作しなければ、ディスプレイに申し訳ない。長かった梅雨も明けたことだし、夏の太陽の全身に浴びながら、生ビールでも飲んで考えてみたい。

August 2nd, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#058 可能性を広げるフィルム・ディスプレイ

先日お邪魔した、有機ELディスプレイを開発しているメーカー様の製品の中で、私が注目しているテクノロジーがフィルム・ディスプレイである。厚さはなんと0.1mm。フィルム状なので、かなり小さなアールに加工できる。すでに車のダッシュボードのインストルメントパネル、通称「インパネ」での開発も進められている。今まで、アール状に加工が可能なディスプレイはLEDパネルがほとんどであった。LEDは発光輝度が高いので、屋外の大型ディスプレイなどで力を発揮している。しかし大きな問題は、LEDのドットとピッチである。1点のLEDが大きい事と、1点1点の距離を短くする技術が難しいため、どうしても大型になってしまう。私の知る限り2020年現在での最高精細ピッチは0.95mmである。このピッチで4K(3840 Pixel×2160Pixel)ディスプレイを組むと、165インチで342kgとなる。通常言われている最高精細ピッチが3mmなので、これの3倍なるのだからコンパクト化は、まず無理であろう。近くで見る、とまるで電光掲示板だ。その点、フィルム・ディスプレイは小型化と軽量化できるので、その可能性は大きい。デジタルサイネージのディスプレイの設置で、よく問題になるのが、元々ある美しい景観(内装や外装)を、サイネージのスタンドや筐体が壊してしまう事だ。せっかくのインテリアが台無しになる場合がある。フィルム・ディスプレイはこの問題を解決できる可能性を秘めている。特に私が「空間デザイン」を考える時の大きなポイントはディスプレイの規格である。これは大きさではなく、16/9という比率である。この16/9というテレビ規格が、映像制作の可能性を縛っているのだ。みなさんご存じのように、HD規格の前のSD規格は4/3であった。写真や映画用の両方で広く使われている35mmフィルムの規格は3/2である。写真の紙焼きも用紙サイズによって微妙に縦横比が違う。絵画のキャンバスにも様々なサイズが存在する。これらは、表現したい目的によって、自ら選択出来る、創作作業のひとつなのである。空間デザインを考える時には、やはりその空間に適した規格を考えなくてはいけない。現在は16/9以外のディスプレイも幾つか存在するが、まだまだ種類か少ない。有機ELフィルム・ディスプレイが自由な比率に対応したら、素晴らしい効果が期待できるであろう。映像信号を流すという点では、そう簡単な事ではないと思っているが、近い将来、日本のテクノロジーで本当に自由な映像キャンバスが誕生したら、空間デザイン、空間演出は大きく開花するに違いない。

August 14th, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#065 シースルー・ディスプレイ

新しいデジタルサイネージの広告戦略として注目されてきたのが「シースルー・ディスプレイ」だ。文字通り映像を映さない状態では透明になる特殊なテクノロジーを使用したでディスプレイである。実際に飾られた商品と映像が重なり合う効果があり、日本ではシャープが実用化に向けて開発を進め、昨年行われたアジア最大級のIT技術とエレクトロニクスの展示会「CEATEC 2019」で注目を集めた。
同じような発想で数年前から実際に使用されてきた物に「フィルム・スクリーン」があった。ガラスに透明フィルムのスクリーンを貼り付け、そのスクリーンにプロジェクターで映像を投影するシステムであった。私も何度がコンテンツ制作に携わったが、やはり映像の鮮明度が足りなく、思ったような効果は得られなかった。それに変わって「シースルー・ディスプレイ」は液晶ディスプレイを使用している。通常の液晶ディスプレイは液晶パネルの背面に「バックライト」と呼ばれる発光体があり、その光が液晶を通過して映像として映し出される。シースルー・ディスプレイの場合は、この「バックライト」を取り外し、ショーウインドの中に仕込まれたLEDを拡散させて、バックライトの代わり役割を果たしている。タイプも高品質の映像表示を可能とする映像重視と、透過性能を向上させ、奥のものがよりクリアに見える透過重視の2タイプがある。ではこのシースルー・ディスプレイのコンテンツ制作はどうあるべきか。もちろん、どんな商品が飾られるかによって映像表現も大きく変わってくるが、主役の商品が飾れている以上、映像は脇役に徹することになるであろう。単純に商品の価値を膨らますイメージ映像だったり、商品の機能を説明する映像が考えられる。また商品ではなく、単なる装飾としての利用も効果があるだろう。例えば、綺麗なフラワー・アレンジメントを飾り、その花の花弁が宙を舞っているような幻想的なショーウインドも魅力的だ。しかし、実はこのシースルー・ディスプレイは昔からあったのだ。オペラで使われる「紗幕」が、まさにシースルー・ディスプレイの効果を狙った演出手法であった。「紗幕」とは舞台で使われる幕のひとつで、紗のような薄手の生地で作った幕である。幕の内側の役者や大道具にその後方から照明を照らすと幕に透けて映し出され、幕の前方から照明を照らすと幕には映らない。この効果を利用した舞台演出も多く見てきた。色も黒紗と白紗があり、目的によって使用される。白紗に全面からプロジェクターで映像を投影し、映像が終わった所で、舞台上の証明が入り、演技が始まるなどが効果的であった。舞台演出が出身の私にとって、シースルー・ディスプレイは紗幕そのものである。そう考えると、結局はアナログの良いところは、新たなテクノロジーでデジタル化されて生き残っているのかも知れない。ただ単な映像のみのデジタルサイネージよりも、アナログとコラボするシースルー・ディスプレは以外に流行るかも知れないと私は思っている。

September 10th, 2020 Toyosaki’s blog