デジタルサイネージの撮影機材と編集機材

映像制作を支える多くの機材を
様々な角度から考えてみる

映像制作に30年も関わっていると、まさに映像機材と技術は日進月歩で、
正直、私の歳になると新しい事を取り入れることがしんどく感じる。
アナログ時代にはアナログの良さが、デジタル時代にはデジタルの良さがある。
20年以上経っても、使用できる機材もあれば、数年で使われなくなる機材もある。
私は、なるべく長く使える機材を選びたいと思っているが、技術の進歩は待ってくれない。


撮影機材は、カメラと三脚、レンズとフィルターの四つ巴

撮影機材の中心は「カメラ」である。カメラに付随する機材は果てしなく多い。
三脚やレンズ、マットボックスにファイルター、ジンバルにスライダー、マイクにモニターなど、
幾ら挙げても切りがなく、金額もピンからキリまでの厄介な存在だ。稼いだお金は機材に消えていく。
編集機材は、PCとソフトがあれば、大抵のことはできてしまうので、PCのスペックが大切である。
特に機材が進化しても変わらない基礎的な技術を身につける事は大切である。
ただ、ここは気ままなブログだ。使い方の解説や詳しいチュートリアルなどは無いのでご了承を。


ブログ#071 気になる最新カメラ

 私がデジタルサイネージのコンテンツ制作に使用しているメイン・カメラは「Panasonic GH5」である。ミラーレス一眼レフカメラでの動画撮影機として今でも人気なカメラだ。GH4からGH5にバージョンアップした段階で、動画撮影カメラとして不動の座に着いた感があった。発売日が2017年3月だから、まだ3年半しか経っていないのに、その後に登場した多くのカメラに心が揺れながらGH5を使ってきた。コンサートやイベントの長回しでない限り、レンズ交換が可能な一眼の方が高画質で収録できる。一番影響があるのがセンサースペックとレンズの性能であろう。

 私の理想のセンサーサイズはSUPER35mmである。一眼のフルサイズは必要ない。マイクロフォーサーズだと、ちょういと足りない。現在所有のGH5はマイクロフォーサーズなので、次のターゲットとしてFUJIFILMのX-T4を考えていた。動画の画質もかなり良い。センサーも「APS-C」なので、ほぼSUPER35mmに近い。しかしカメラ機材の変更で最もリスクが高いのがカメラメーカーによるレンズマウントの違いだ。X-T4はXマウントなので、今持っているレンズは全て使用できなくなる。今メインで使用しているのがZUIKOの大三元レンズである。大三元レンズとは、F値2.8通しの3本のズームレンズをいう。これをXマウントに変更するには予算オーバーになってしまう。Panasonicでも高感度撮影に適したGH5Sなどがあるので、GH5SとGH5Sの二刀流も考えてみた。これならばレンズ資産が有効に使える。Panasonicの S1シリーズはフルサイズのセンサーなので、写真がメインなら考えられるが、動画がメインなら色々な負担が多すぎると思っていた。そこに来て出てきたのがPanasonic S5だ。フルサイズなのだが動画撮影のスペックは申し分無い。まさか、フルサイズに乗り換えを考えるとは。Panasonicが「APS-C」センサーのカメラを作ってくれれば良いのにと思っても仕方がないので、しばらくはこのまま使っていこう。衝動よ収まり給え!ポチッ!

October 21th, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#072 しかたなくジンバルを購入

 11月に行われる3度の撮影が全て手持ちで行うことになった。激しいダンスや剣舞、狭い厨房で調理シーンの撮影である。使用するカメラはPanasonic GH5である。レンズはZUIKOの7-14 2.8Fと12-40 2.8Fである。GH5は5軸のボディ内手ブレ補正が付いているし、レンズは超広角なので、手持ちでも撮影できると思うし、今までも手持ちで撮ってきた。しかし所詮は写真撮影用の手ブレ補正なので限界がある。そこで、最近撮影に欠かせない機材として定着した「ジンバルGimbal(ギンバル)」を購入した。

 シンバルとは3軸補正のブレシレスモーターの着いたスタビライザーである。スマホ用の小型のものから、大型ビデオカメラ用まで多くの製品がラインナップしている。今回購入したのはである。最近は安価で性能の良いジンバルが多くあるが2019年に発売されたこの「ZHIYUN WEEBILL S」は特に評判が良かった。YouTubeなどで操作性を確認して購入。フォローフォーカスユニットと別のハンドルを付けて総額66.600円。666?オーメンです。専用のスマホフォルダーは5.300円もするので、安いフォルダーで代用した。

 早速テストシューティングしてみたが、なかなか良い。ジンバル自体のバランスが良く安定した映像が撮れた。モーターバランスやスピードコントールを細かく調整すれば、かなり使えるジンバルだ。中国製品なので耐久性が心配だが、作りとしては中国製品特有の煩雑さは感じられない。デジタルサイネージ用の縦型撮影もギリギリバランスが取れそうだ。今まではクレーンやドリー(移動車)など、大掛かりな機材と大勢のスタッフがいなければ撮れなかった映像が、こんなジンバルひとつで、一人で撮れてしまう。そして制作費も人件費も下がっていく。こうなったら、何処までワンマンシューティングで撮影できるかやってみるか?これでドローンが揃ったら無敵になるか、無一文になるか?

October 30th, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#074 eGPUで編集という選択

 デジタルサイネージのコンテンツ制作の大きな柱は、映像撮影、映像編集、デザイン制作であろう。もちろんその他の創作作業も多くあるが、静止画ならまだしも、4Kサイズの動画制作になると、どうしてもPCのスペックが作業時間に大きく関わってくる。PCのスペックを決める要素として、CPU(コンピュータ全体の計算処理)、メモリー(データやプログラムを 一時的に記憶する部品)、SSD&HDD(データ記憶ドライブ)がある。そして映像制作、デザイン制作に欠かせないのが「GPU」だ。

 GPUとは「Graphics Processing Unit」の略で、3Dグラフィックスなどの画像描写を行う際に必要となる計算処理を行う半導体チップ(プロセッサ)のことで、GPUはCPUの数倍~100倍以上の計算速度を実現することがある。デスクトップPCでもノートPCでも、このGPUを積んでいるが、このGPUのスペックが作業時間を大きく変えるのである。私のPCは30年間MACだが、MACは初期の頃からグラフィック作業に最適なGPUを積んできた。GPUを交換できる筐体を持ったMACでは、GPUのみを交換しながら処理スピードを上げてきたのである。しかしCPUも限界になり最新のOSもアプリも走らない状態になってしまった。仕方がないので5年ぶりにMACのリニューアルをした。その選択が「eGPU」である。

 「GPU」にはiGPU: Integrated GPU、dGPU: Discrete GPU、eGPU:External GPUの3つが存在している。「eGPU」hはパソコンと接続する外付けのeGPUボックスを利用する物理的GPUとなる。このシステムを可能とさせるのが、PCとeGPUをつなぐThunderbolt 3の技術である。Thunderbolt 3はアップルが開発した、最大転送速度40Gbpsを叩き出すケーブルである。このThunderbolt 3とeGPUのおかげで、外付けのGPUが使用可能になった。であるならば、PC本体のGPUは低スペックでも問題ない。モニターも一体型でなくて良い。早いCPUとそここそのメモリーがあれば、後は全て「外付け」で済んでしまう。そこで選択したのがMAC MINIである。CPUは6コアのi7、メモリーが64GB、2GのSSD。そしてeGPUは AKiTiO Node Titanを選択。グラフィック・ボードはRadeon RX 5700 XT 8 GB。それに8ベイのThunderbolt 3RAIDとEIZOのモニターで、4K映像編集がバリバリできるマシンになった。しかし、バリバリと仕事をしているわけでは無いのが、最大の問題である。

November 12th, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#086 デジタルサイネージとトライポッド(三脚)①

 私がデジタルサイネージの動画撮影でメインに使っているトライポッド(三脚)は「OSKAR HEILER MANNHIM 7007L」である。ドイツの老舗メーカーで、60年から70年代に映画撮影用の三脚として多く製造していた。今なもう無いメーカーだが、eBayなどでビンテージモデルは売買されているが、調べても情報が皆無の謎のメーカーだ。日本にもあまり存在していないのだが、なぜか私は3台所有している。特に1台は新し目の珍しいモデルで一生モノだ。画像検索しても見ることはないので、どうして私の元にやってきたのかが不思議なくらいだ。

 このOSKAR HEILERは、世界中のプロカメラマンに愛されている最高級トライポッド・メーカー「Sachtler」の最上位モデルと、ほぼ同等のスペックを持っている。極寒の地でも耐えられるキア式の100mmヘッドで、パン・ティルト共に7段可変。10段階のカウンターバランスに60cmのカメラバランス、耐荷重30Kgのスペック。写真を違って動画撮影の場合は、やはり三脚がものをいう。屋外の強風でも、びくともしない。1200mmの超望遠でもブレないし、パンやティルトの安定感は抜群である。デジタルサイネージの動画撮影には力を発揮する。ネックなのは重さで9Kgある。この三脚とカメラ機材を担いでのロケはかなりしんどい。体力のある若いスタッフがいない時は、移動だけで体力も気力も使ってしまい、撮影自体が疎かになってしまう。本末転倒である。ドンと構えて撮影するとき以外は、使用頻度が少なくなってきた。

 このOSKAR HEILERに替わる三脚を色々と探したが、なかなか見つからない。軽い三脚は、やはりブレるし、パンやティルトは全く使えない。そこで考案した「新たな三脚」は後日紹介しよう。しかし、もしかしたら、日本に1台しか無いかもしれない、このOSKAR HEILERは、誰かがドイツから持ち込んだのか?外国の撮影スタッフが忘れていったのか?使用頻度も少なく不思議な三脚である。私は「幻のトライポッド」と呼んでいる。このスペックの三脚は、Sachtlerなら100万円を超えてしまうが、私がヤフオクで落札した金額は2万円であった。

January 9th, 2021 Toyosaki’s blog


ブログ#166 クレーンカメラの魔力

 東京オリンピックも「安全?安心?」に終演した。無観客にしていなかったら、今頃どうなっていたことか?奮闘した全てのアスリートには心からエールを贈りたい。コロナ渦になって多くなったのがライブ配信の仕事だ。イベントや展示会、コンサートや講演会なども、多くがライブ配信で渦中をしのいでいる。ライブ配信の方がコスト的にも安く、多くの人に情報を発信できるメリットもある。ライヴ配信の仕方も様々で、WEBカメラ1台で行う簡易的なものから、少しでも会場の臨場感を与えようと、カメラの台数を増やすケースも少なくない。そんな時に力を発揮するのがクレーンカメラである。

 クレーンカメラが作り出す映像は、ダイナミックな動きや、人の目線では感じられない俯瞰の映像が特徴である。私も予算がハマれば、必ずと言ってよいほどクレーンカメラを導入している。撮影は大きく2つに分かれる。ひとつは脚本や絵コンテを元に、1カットずつ撮影していく方法と、コンサートやイベントの様子を複数台のカメラでスイッチング収録・配信していく方法だ。私はどちらも担当するのだが、画作りが違うのでクレーンの動きも変わってくる。最近のクレーンはヘッドにカメラを載せ、アームの伸縮やカメラの操作もリモートで行っている。クレーン自体が進化し、簡易な操作が可能となったのだ。昔はカメラマンとフォーカスマンがクレーンに乗り、クレーンも全てをアナログで操作していた。私もクレーンに乗って撮影をしたこともあるが、気持ちの良いものである。

 クレーンカメラでの撮影の思い出は色々あるが、特に印象に残っているのは、読売巨人軍の開幕戦セレモニーの映像制作で、東京ドームでクレーン撮影をしたことだ。撮影は1カットのみ。ホームベースの手前にある読売ジャイアンツのYGマークのヨリから、クレーンバックして東京ドームの天井にティルトアップするカットであった。機材搬入から、撮影、搬出まで、与えられた時間は1時間半。1カットなので綿密な打ち合わせをしておけば、問題ないと思えた。しかし、やはり現場でないと分からない事がある。東京ドームは、ホームベースと、天井の中心がずれていたのである。数回テスト撮影をしても、決まりの画がずれてしまう。時間も迫ってきて、半分諦めかけた時、カメラマンとクレーンスタッフがクレーンのタイミングとカメラワークを修正した。残り時間で撮れるのは1カットのみ。そして1カットで75万の「奇跡のカット」が誕生したのであった。

 先日行ったライブ配信では、私が中継のディレクションをしていないのだが、13台のカメラ中、5台がクレーンカメラであった。個人的な意見だが、クレーンカメラを効果的に使うためには、前後のカット割りが大切だと思っている。無闇矢鱈にクレーンカットを連発することがダイナミックな画作りではない。クレーンカメラの魔力にかかってしまっている。そんな所に無駄な予算を掛けるなら、映像演出に回した方が、最終的にはクライアントの評価も得られることを制作会社もそろそろ気づいてほしいと思う、今日このごろである。

August 9th, 2021 Toyosaki’s blog


ブログ#167 憧れのロケ車「UAZ」

 UAZ(ワズ)はロシアの商用バンで、日本でもコアなファンが多くいる。簡単に言うと日本のハイエース的な商用バンである。日本のロケ車といえばハイエースが定番だが、ロシアではUAZが定番なのだ。UAZは「 Ulyanovsky Avtomobilny Zavod (ウリヤノフスク自動車工場)」の略で、モスクワから900km弱東に位置するウリヤノフスクに本拠を置く自動車メーカーのバンだ。UAZは元々軍事用車両の生産からスタートし、1958年には一般向けのトラックやバンの生産を開始する。1961年にはバンをベースにした救急車UAZ-450Aが発表された。その後カーゴトラックやマイクロバスが開発される。浅い川などは平気で横断できるタフなバンである。

 ソ連崩壊後の2004年には、ロシアの鉄鋼大手セベルスタリのグループ企業がUAZを買収。セベルスタリ自動車の傘下となったUAZは、2006年にはいすゞ自動車と小型トラック”エルフ”のノックダウン生産を開始している。セベルスタリ自動車はその後社名がソラーズに変わり、2017年上半期はUAZの新型車「パトリオット」の販売が好調で大幅な増益を産み出している。

 日本にもバンタイプのUAZ-3909等が輸入されていたが、排ガス規制の関係で2012年以降は輸入がストップしてしまった。2017年にUAZ-2206の輸入販売を株式会社オートリーゼンが開始してくれたので、現在は日本でも購入できる様になった。外観は50年以上ほとんど進化していないが、中身は確実にアップグレードされている。簡単な仕様は、左ハンドルの5速マニュアル、車両総重量2635kg、エンジン排気量2,693cc、燃料はガソリン、最高速度127km/h、パートタイム4WD。写真は「UAZ SGR EXPEDITION」で、¥4,235,000円。決して夢のような金額ではないが、UAZはミニカーやプラモデルが存在していたので、まずはPayPayモールのプラモデルを1,700円でGETした。今年の夏休みの工作はこれで決まりである。いつかは本物のUAZに乗ってデジタルサイネージのロケの旅に出かけたい。ちなみに私のロケ車はエルグランドAPWE50で、救急車にも使われている名車だが、2000年生産なので、車も体もそろそろ限界がきている。

August 11st, 2021 Toyosaki’s blog