デジタルサイネージの映像制作に必要な知識

デジタルサイネージの映像制作の基礎知識や
撮影や編集のヒントなどを紹介します

デジタルサイネージの制作現場は多様化され様々なスタッフが活躍している。
デザイナーやクリエイターなど、持ち場によってそれぞれの知識と経験が必要だ。
ここでは映像制作全般についての基礎的な知識と役割などをまとめてみたい。
「そんな事は知っている」と言われないように書こうとは思うが、
おそらく「そんな事は知っている」と言われるであろう。
このブログの良いところはコメント投稿が無いことである。
恥を忍んで書いているのであるから、温かい目で見守って欲しい。
コンテンツ制作の基礎知識は、「自作に挑戦!デジタルサイネージの作り方」を参考にしてください。


ブログ#004 デジタルサイネージと色温度

 デジタルサイネージに限らず、映像の「色」には「温度」がある。簡単に言うと「白」には「赤い白」と「青い白」がある。いわゆるホワイトバランスだ。複数台のカメラで撮影する時にはこのホワイトバランスを取っておかなければ編集で色味が合わなくなり大変な事になる。なのでVE(ビデオエンジニア)さんは、しっかりと時間を取って正確なグレースケールと波形モニターを使って色調整をする。今時の編集ソフトは優秀でゴマカシがきくが本来は重要な撮影セオリーなのだ。

 しかしENGなどの取材現場ではグレースケールを使わずに適当なコピー用紙などでホワイトを取るカメラマンも多くいる。こだわりが無いのでは無く、言ってしまえば見るディスプレイによって再現される色は正確ではない事がほとんどである。数十万円もするスタジオのマスターモニターぐらいにならないと正確な再現は出来ないであろう。もっと言ってしまえば、映像を見る人間の目にも色温度があり、しかも左右で温度が違う。さらに男女でも違う。女性は男性の3倍もの「赤」を見分けることができるのだ。コスメショップで何十本も並んでいるルージュでお気に入りの1本を探すのであるから納得がいく。

 極論から言うと作られた映像の色は、見る人や、デジタルサイネージのディスプレイによって全部違って見えていることになる。だからこそ撮影時には正確なホワイトバランスを取って作品に望むことが大切だと私は思う。#001で書いたブランド「C」で化粧品の仕事を10年続けられたのは、私が「赤」を見分けられる目を持っているからだと「C」の担当者がお世辞を言っていた。もしそれが本当であればそんな目を持つ人間として産んでくれた母に感謝するしかない。しかし今は老眼と白内障で色も形も不正確極まりない人生の曲がり角に立っている。いや立っているのはしんどいので座っている。

November the 1st, 2019 Toyosaki’s blog


ブログ#005 デジタルサイネージとグレースケール

 デジタルサイネージの撮影現場でホワイトバランスを取る「道具」がグレースケールであることは前回お話ししたが、これがなんでこんなに高価なのか?日本であれば「村上色彩技術研究所」のグレースケールが最も有名で信頼できる。黒から白までのグレートーンを手塗りで仕上げる技術は村上色彩技術研究所にしか作れないとみんな思っている。「こんなものPhotoshopで作って高級印画紙にプリントすればいいんじゃないの?」と思ってはいけない。正確な波形モニターで見れば偽物だとすぐにバレてしまう。私はデジタルサイネージのコンテンツ制作以外でも中継の仕事もやっていたので今までに何百人というカメラマンが映したグレースケールを見てきただろうか?もちろん私はVE(ビデオ・エンジニア)でないので波形モニターとにらめっこするわけではないし、スタッフが本番前に気持ちをセットアップするひとつの儀式のような意味合いが多かったように思う。

 こんな中とあるスタジオ収録に顔を出すと、久しぶりに大先輩カメラマンがスタッフィングされていた。そして、そのカメラマンが映したグレースレールに度肝を抜かれたのだ。なんと美しいグレースケールなのか?な私は率直に「こんな美しいグレースケールは今までに見たことが無い」と先輩に話した。その先輩は静かに笑っていただけであった。隣にいた、これも大先輩の編集マンさんが私に「おっディレクターさん、そんな気遣いも言えるようになったか?成長したな」と茶化したのであった。私は本番スタッフではなかったのでスタジオを後にしたが、しばらくあの美しいグレースケールが頭から離れなかった。それからしばらくして、そのカメラマンは病に冒され他界した。偉大なる大先輩カメラマンが私に残してくれたラストカットは、世界で一番美しいグレースケールであった。

November the 8th, 2019 Toyosaki’s blog


ブログ#010 デジタルサイネージのディスプレイ

 今では当たり前になった液晶ディスプレイやLEDディスプレイ、LEDバックライトの液晶ディスプレイ。しかも低価格の競争には驚かされるばかりだ。ひと昔前はシャープの液晶が世界ブランドであったが、今では韓国製品に押しまくられている。価格が低くなったことでデジタルサイネージの普及がより進むのであれば良いことでもあろう。ところでディスプレイとモニターに違いって何だろう?わたしの勝手な解釈は、映像を監視するのがモニターで、映像を誰かに見せるのがディスプレイとしている。従ってPC用はモニターでデジタルサイネージはディスプレイとなる。

 わたしの編集環境ではEIZO-EV3237 31.5インチの4K液晶モニターを使用している。価格が高いのがネックだが映像の編集マンがEIZOのモニターをよく使うのは発色が優れているからだろう。もちろんくデジタルサイネージのディスプレイでも輝度が高く発色が良いものは高価である。しかしアート作品を扱ったりしない一般広告で、しかも屋内あれば安いディスプレイを数台設置したコンテンツの見せ方や、規格外のワイドやスリムディスプレイの方がより効果的だと思う。ちなみに私がはじめて買った液晶モニターは1998年販売のApple Studio Displayだった。スペックは15.1インチ 1024×768ドットで25万。これを2台でデュアルモニターとして使っていたので、14インチのブラウン管モニターが主流の時代に贅沢な話であった。

December the 13th, 2019 Toyosaki’s blog


ブログ#032 デジタルサイネージと撮影

 スマートフォンの普及により、多くの人がみなフォトグラファーであり、ビデオグラファーになってしまった。常にカメラを持ち歩き、いつでも、どこでも撮影を行える。更には撮った直後にSNSで世界中に発信できる時代。この時代の「写真」と「映像(動画)」の価値観は大きく変わってきたと感じる。映像そのものクオリティーや芸術的な価値は無くても、話題性や面白い、珍しいという価値があればお金だって稼げる時代だ。インスタグラマーやユーチューバーなど新たな職業も誕生し、子ども達の将来の夢にまで掲げられている。映像のクオリティーだってすごく向上してスマホ撮影だけで映画を撮ってしまう人もいる。

 私は映像文化に携わる者として、この価値観を否定することはない。私は「人間はみな写真家であり、音楽家であり、詩人である」との持論を持っている。では、SNSでは無くデジタルサイネージのコンテンツとしての撮影を考えた時に何を大切にしなければならないのか?高性能なカメラやレンズなどの撮影機材も大切だし、自然であれモノであれ、被写体そのものが持っている力も当然大切である。では、それなりのカメラ機材と被写体が揃った場合、次に大切なことは何であろうか?撮影には三原則というものがあると良く言われる。風景撮影の場合は「構図」「タイミング」「露出」、ポートレートの場合は「構図」「ボケ」「露出」などと言われているが、決してこれが全てでは無いのだが、撮影の技術としては大切な事である。これらの三原則を考える前に大切な事、それは「影」である。「影」を「撮る」を書いて「撮影」とはよく言ったもので、ここに全てが含まれていると私は思う。

 写真は光が無いと写らない。光があれば被写体の影が必ず現れる。この「光」と「影」コントロールこそ最も大切なのだ。これは単にライティング撮影に限ったことでは無く、大自然を撮影する時こそ重要なのだ。大自然を撮る場合のライトは当たり前だが太陽である。太陽は毎日違い場所から昇り、違う場所に沈む。今日の正午の角度と昨日の角度も違う。夏至と冬至では日照時間は約5時間弱も違ってくる。もちろん撮影場所によってこれらが全て違うのである。そし被写体に魔法をかけてしまうゴールデンアワーなど日常生活で「影」の存在を強く意識していると、少し違った美しい世界が見えてくるに違いない。デジタルサイネージの映像コンテンツも「光と影の演出」でありたいと常に思っている。ちなみに英語の「photography(撮影)」は、ギリシャ語で光を表す「phot」と、描くや記録を意味する「graph」を合わせて「光で描く・光を写す」を意味している。「影を撮る」と「光を写す」どちらも実に深い言葉である。

June 08th, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#034 デジタルサイネージの動画撮影

 デジタルサイネージのコンテンツを制作する上で大切な作業のひとつが「動画撮影」である。デジタルサイネージにはグラフィック・デザインだけであったり、文字情報だけであったりするコンテンツも存在するが、動画の配信がデジタルサイネージの醍醐味のである。ではデジタルサイネージの動画撮影は普通の撮影と何が違うのであろうか?それはズバリ「縦型の動画」でる。もちろんデジタルサイネージには横型も存在するが、ここでは縦型にフォーカスをあてて話を進めたい。スチールカメラマンは縦と横の両刀使いであるが、ビデオカメラマンは長い間、横のみで画を作ってきた。スマホの登場と発展で今や縦型の映像は世の中に溢れるようになった。

 デジタルサイネージの縦型ディスプレイの登場でビデオカメラマンも縦構図を考えなくてはいけなくなった。人間を含めの動物の目は横に列んでいる。これは横に広く、多くの情報を得るためだ。簡単に言えば敵から自分を守るための進化である。そしてそこには目の錯覚という現象が生まれる。わたしもそうであったが、16/9の横画像を縦にすると、縦が長く見える錯覚が起こる。この錯覚は馴れてくるのでいいとして、縦構図の感性を磨くのには時間が掛かる。もっと言えば縦構図にしか収まらない被写体も多い事に気がつく。広大な自然はパノラマ画角が良いのに対して、縦構図にあう被写体と構図がデジタルサイネージの撮影の肝である。デザインで言えば広告ポスターなどは縦サイズが多い。これは広告としての情報を詰め込むと、縦の方が収まりが良いのであろう。

 そして私が着目しているのが日本の文化である。縦文字、掛け軸、襖、のぼりなど、海外と比べると日本は縦の文化と言ってよいと思う。この日本の縦文化を表現する上でデジタルサイネージは有利である。別のブログでも書いたが、屋久島の縄文杉は縦でしか表現できないのだ。そしてデジタルサイネージの撮影に関してもうひとつだけ付け加えるならカメラである。通常のビデオカメラは当然横型の撮影を前提に作られている。私も昔、L字クランプに着けて縦で撮影した事もあったが当然扱いづらい機材となってしまう。やはり一眼カメラでの撮影がベストな環境といえよう。レンズの豊富さや高画質などとっても、もはやビデオカメを使う気にはならない。結論として「縦撮影を制するモノはデジタルサイネージを制す」のである。ピクトパスカルは現在、縦構図のコンテンツのみをラインナップしているが、デジタルサイネージには横型も多くあるわけで、将来的には横デザインのコンテンツも追加しなくてはいけないと思っている。

June 12th, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#035 デジタルサイネージとドローン撮影

 デジタルサイネージの撮影で今後多くなっていくのがドローン撮影であろう。ドローン撮影はエンターテインメントをはじめ、災害便場、建築現場、医療現場など様々な場所で活躍している。ドローンの名前の由来は英語で「オス蜂」。無人航空機を指すようになったのは第二次世界大戦で米軍が使用していた射撃訓練の際の標的が「ターゲット・ドローン」と呼ばれたことに由来する。1990年代に入ってGPS(全地球測位システム)が普及した。代表的なモノはカーナビである。GPSの発達でドローンの自動飛行が可能になり偵察機としての利用が開始されるようになった。2010年にフランスのParrot社が玩具のドローンの販売。さらにDJI社が空撮用ドローンを世に送り出した。

 DJIは中国のシリコンバレーと言われる深センにあり、日本をはじめ、民生用のドローン市場で世界の7割のシェアを担っているらしい。ドローン撮影機としては信頼できるメーカーであろう。最新モデルである「Mavic 2 Pro」はハッセルブラッドのカメラを搭載し、10bitのHDR撮影が可能しかも4K。さらに障害物を探知しての自動飛行など、最新のテクノロジーが満載である。そして私が最も望んでいた機能が「ポートレイト・キャプチャー」だ。何とカメラを物理的に回転し縦型の撮影ができるのである。まさにデジタルサイネージのコンテンツ撮影に特化したドローンと言えよう。

 昔は空からの撮影はヘリコプターやセスナなどの「空撮」しか無く、一回30分の飛行で50万は掛かっていた。また高所撮影は大型クレーンを利用していた。今でもイベント現場などで使用しているが、10mを超えるクレーンだとやはり一日で50万。大型カメラを搭載できる大型ドローンもまだまだ高額である。そう考えると20万で高画質な4Kムービーの縦型を可能にする「Mavic 2 Pro」は現在の所無敵である。200gを超えるドローンなので撮影は国土交通省の認可が必要だ。今のところドローンには官公庁が発行する正式な免許は存在しない。ドローンの民間資格の認定を『ドローン免許』と呼ぶ人もいるが、正確には「ドローン技能認定資格」。しかし安全に飛行するために民間資格は取得するべきであろう。夢がひろがるドローン撮影だが、世界中の絶景を撮影できる日はまだまだ先になりそうだ。

June 15th, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#037 デジタルサイネージと天体撮影

 今日2020年6月21日は太陽が月に隠れる「部分日食」であった。しかも夏至である。日食と夏至、ついでに父の日が重なることは非常に珍しい。日食は、太陽と月と地球がほぼ一直線上に並んだ時に、地球から見て月が太陽を覆う現象で、大きく皆既日食、金環日食、部分日食大の三種類に分かれる。皆既日食は、太陽と月の中心がほぼ重なって太陽が全て隠れ、空が夜のように真っ暗になる。金環日食は皆既日食とは逆で、月の外側に太陽がはみ出して細い光輪状に見える。日本で金環日食が見られたのは2012年の5月21日。129年ぶりの金環日食は全国で良く晴れてダイヤモンドリングがよく見られた貴重な日食であった。この時私は、富士山の五合目で金環日食の撮影に臨んだが、あいにくの悪天候で5月だというのに雪まで降ってきて撮影は失敗。自宅の方がハッキリと見えたらしい。

 さて今回の部分日食は、日本では南ほど大きく欠けるので、沖縄本島や石垣市などでは、三日月のような太陽になった。東京都三鷹にある国立天文台は太陽面で起きる爆発、いわゆる「太陽フレア」を観測する望遠鏡で日食の撮影を試みたそうだが、曇りのため撮影はできなかったようだ。私も昨日は金環日食の教訓を生かし自宅のベランダで待機。35mm換算で1200mmの超望遠レンズと太陽を直接撮影するためのフィルターでるND-1000000を準備したが、横浜も曇りで全く撮影は出来なかった。全国で見られる部分日食は10年後だ。それまで生きているか?今回は日食であったが、本格的な天体撮影でデジタルサイネージの天体コンテンツの制作にも挑戦していきたい。神秘的な宇宙動画はまだまだ少ない。どうしてもCGで制作した宇宙には魅力を感じないし、タイムラプスの星空撮影も私の好みではない。もっと美しい天体動画撮影が出来るはずである。4K大型HDRディスプレイのデジタルサイネージに映し出される満天空をイメージしながら「父の日」を自分でお祝いした。10年に一回で良いので誰か感謝してくださいよ。

June 21th, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#038 ビデオ撮影VS写真撮影

 ビデオ撮影と写真撮影の大きな違いとは何であろうか。撮る人で言えば、キャメラマンとカメラマンの違いと先輩から教わった。フィルムカメラとスチールカメラの違いを言っているのであろう。大きくは動画か静止画の違いでよいと思うのだが、撮影の方法としては大きな違いがひとつある。それは「シャッタースピード」である。写真撮影は被写体の動きや環境の明かりによってシャッタースピードを調整できる。これに対しビデオ撮影はシャッタースピードに似合わせた環境光を作る方法である。もちろん写真でもシャッター優先で露出を調整したりライティングしたりすることもあるであろう。ここで言いたいのは、写真はシャッタースピードを自由に調整でき、ビデオはシャッタースピードの制約を抱えた撮影ということである。ビデオの場合、基本のシャッタースピードは1/60である。もちろん業況によって違い場合もある。またスピードではなくシャッター角度と捉える技法もある。シャッタースピード1/60で真夏のビーチを撮影する場合、適正露出にするためF値を絞らなければならない。しかしF値を絞ると背景がボケなくなる。背景をぼかしたいのでF値を開放にしてNDフィルターを掛ける。それでも明るいのでISOを下げて調整するなど、多くの作業を伴う撮影になる。写真の場合、乱暴な言い方すれば、シャッタースピードを上げれば適正露出になる。逆に暗い場所での撮影の場合、写真はシャッタースピードを下げて長時間の露光にすれば被写体は撮影できる。

 しかし被写体が動くモノであればブレるのは当然。ビデオの場合はレンズを開放にしても暗ければISOを上げるしかない。しかし上げすぎると画像にノイズが入ってくる。そこで必要になるのがライティングだ。写真でも暗い部屋ではストロボを使用した撮影をするが、ストロボはシャッターを切る瞬間だけ光れば良いが、ビデオの場合は撮影している間ずっと点いて無くてはならないので、当然照明の大きさや数も必要になってくるしスタッフの人数も増えてくる。私の場合、被写体が人間2.3人で、シーンを数回変えてしっかりと撮影する時には、総勢20人のスタッフになることも珍しくはない。撮影の規模が大きくなれば3桁にもなるであろう。写真は動かないが、シャッタースピードで動きを演出することが可能な芸術だ。動画は演出に必要な状況を多くのスタッフが作り出す総合芸術だ。写真の方が芸術作品として扱われる事が多いと感じている。しかし写真のクオリティーに近い動画撮影が可能となった現代、これからは動画も芸術として扱われることが多くなることであろう。そしてデジタルサイネージでも写真の芸術に迫るハイクオリティーのコンテンツが多く登場することを望んでいる。

June 24th, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#075 デジタルサイネージとレンズの回転方向

 レンズのフォーカスとズームリングには、時計回りと反時計回りがある。いくつかのカメラを使用した事がある人知っているだろう。私は数年前まではビデオカメラだったので「反時計回り」だった。時計回りにズームして、時計回りに無限遠になる。数年前に一眼に乗り換えたとき、購入したレンズは、パナライカとコンタックスであった。この2社ともレンズは「時計回り」である。とっさに引こうと思って寄ってしまう。奥ピンにしようと思って前ピンになる。なれるのに苦労した。しかし1年前にレンズを全てZUIKOに変えた。

 ZUIKOはオリンパスが作る優秀なレンズである。しかしZUIKOのレンズは「反時計回り」であった。また衰えた頭と体の機能を入れ替える。そこで「時計回り」と「反時計回り」のカメラ会社を整理してみた。ちなみに、シネレンズ/放送用レンズなど動画の場合は反時計回りが基本だ。「反時計回り」がキャノン、オリンパス、シグマ、ライカ。「時計回り」がニコン、ソニー、ペンタックス、パナソニック、フジフィルム、タムロン、トキナー、コンタックスとなった。まあ、キャノンとニコンの二大メーカーが、ライカとコンタックスのカメラをコピーしたことから始まっているらしい。マウントもリングの回転も同じ規格なら、どんなに世のカメラマン達が助かるかをメーカーは、あまり考えてこなかったのであろう。

 最近ライカとパナソニックとシグマが手を組んでレンズを開発するとの報道を見た。とても良いことだと思う。そして衝撃的な報道も。1936年以来、日本のカメラ業界で貢献してきたオリンパスがカメラ業界から撤退するとのニュースであった。ZUIKOのレンズの未来はどうなるのであろう。また買い替えか?デジタルサイネージのディスプレイも回転方向が存在する。縦置きにした場合のコンテンツ制作の方向だ。縦画像をそのまま読み込める機種が最も良いのだが、できない場合は、縦画像を横向きに回転させて記録し、ディスプレイで画像を回転して表示することになる。そして、これも時計回りと反時計周りがある。メーカーや機種によって違うので、いちいちマニュアルをチェックして、画像を回転して納品しなくてはならない。ディスプレイの画像の回転機能は、大した技術ではないし、数千円のパーツで済むはずなので、是非デジタルサイネージには必須の機能として定着させていただきたいと思っている。この小さなハードルがデジタルサイネージの普及やコンテンツ制作のスピードを妨げている大きなハードルだ。

December 2nd, 2020 Toyosaki’s blog


ブログ#085 カラー・チェッカーの役割

 緊急事態宣言で、また自粛に入った私は、この期間にもう一度、映像の基本を学び直そうと思っている。日頃の雑務に追われ最新のデジタル技術にもついけ行けていない感がある。特に撮影に関しては、デジタル化によって多くの機能が追加されたカメラの設定は難解である。Webで検索したり、ユーチューブなどで参考映像を見たりしているが、その情報が正しいとは限らない。やはり自分で撮影しながらひとつひとつ確かめるしかない。デジタルサイネージのコンテンツを撮影する上で大切なのが「色」の管理である。今は静止画でも動画でもRAW撮影したデータをRAW現像して仕上げる事が多くなってきている。もちろん「色」コントールすることで、シネマ風だったり、ビビットでポップな仕上げにしたりできてしまう。そういったイメージ優先のコンテンツであれば問題ないが、いざ商品撮影となったらどうであろうか?特にファッションや化粧品のように、色そのものが商品の価値を決めてしまうアイテムの場合は、厳密な色の再現が求められてくる。別のブロブでも書いたが、雑誌やポスターなどの印刷物と違って、映像モニターは全て同じ色を再現できていない。最終的に見るモニターが正確ではないにしろ、撮影時の設定で、かなり色味を近づけることは可能だ。そのひとつは「ホワイトバランス」をしっかりととること。そして編集時に色の再現を手助けしてくれるのが「カラー・チェッカー」である。

 ホワイトバランスは太陽光や照明によって変わる色温度を調整して「ホワイト」を作り出すだす作業で、これが狂っていると全ての色味が変わってしまう。「カラー・チェッカー」は「ホワイトバランス」がとれた状態で、色の核となる数色を実際に撮影しておいて、編集時にその色を読み込み正確な色を再現する作業だ。調整された色調を、すべてのテイクに適応すれば、実際の撮影物の色になる。便利なツールであるが、メーカー曰く「買い替え時期は2年程度」とのこと。時間によって色が変色して正確な調整ができなるという。私が使っているカラー・チャートはX-rite社の「COLOR CHECKER PASSPORT」だが、3年以上使っている。また、カラーチャートは、あくまで正しい色を撮影するスタートラインのツールであり、カラーチャートを入れて補正をかけたからといって、綺麗な映像が出来上がるものではない。基準となるスタートラインをきちんと作ることで、自分の作りたい映像を、最短でゴールに近づけてくれるツールなのだ。牛のごとくゆっくりと一歩一歩前に進もう。

January 8th, 2021 Toyosaki’s blog


ブログ#130 光と影の原点「ル・グラの窓からの眺め」

 ジョゼフ・ニセフォール・ニエプスはフランスの発明家で、世界初の写真が動を作ることに成功した人物だ。彼が考えた事は、光の像を平面状の物質の上に映し、光によって物質に化学変化を起こさせ版を作るという、リトグラフに代わる新しい印刷法を作ることだった。ニエプスが使った感光材料は、道路に使われている「アスファルト」だった。夏の暑い日に屋外で8時間光を当てることでアスファルトを固め、固まらなかった部分を油で洗い流すことで画像を作りだすのである。ニエプスは自分の技術を「太陽で描く」という意味の「ヘリオグラフィ(héliographie)」と呼んでいた。ニエプスが像を長く定着させることにはじめて成功したのは1824年のことといわれる。そして1827年に窓の外を写した世界で初めての風景写真が「ル・グラの窓からの眺め」である。

 その後、写真は「銀版」「ネガポジ法」「湿版」「乾版」などの感光方法を経てフィルムに至る。モノクロフィルムの誕生が1889年でカラーフィルムの誕生は1935年である。日本カメラ博物館によると、日本では1941年に小西六が発売した「さくら天然色フヰルム」が最初の製品と記録されている。今はデジタル化されてフィルムが少なくなってしまった。特に印画紙が絶版してしまい、本格的な現像が無理となってしまい絶滅の危機にある。

 ニエプスの「ル・グラの窓からの眺め」は、当然モノクロ写真である。「光」と「影」のみが写真の原点であることは言うまでもない。最近思うことは、写真はモノクロで十分ではないかということである。もちろんデジタルサイネージでも、それ以外の映像の仕事上ではカラーがメインになることは必然だ。たまにモノクロの提案をして通ることも稀にある。デジタルサイネージのサイトでもモノトーンのコンテンツは多く扱っている。今、多くのプロが制作する写真や映像はRAW撮影されカラーグレーディングで仕上げられている。RAWデータは、カメラ内で画像処理をほとんどしておらず、ホワイトバランスやカラーモード、シャープネスといった画質を設定していない。そこれらの設定を自分の手で決めることで作品とする手法だ。別にRAW撮影を否定するつもりはないし、白とびや黒つぶれも調整できるが、あまりにも誇張された写真が多いのである。RAWではないが、スマホですら撮影してからカラー調整や加工をしてアップする人も多くいるし、それも否定しない。単純に私にとっての「写真」のありかたである。ニエプスが窓から撮った写真「ル・グラの窓からの眺め」はテキサス州オースティンのテキサス大学のハリー・ランソム・ヒューマニティーズ・リサーチ・センターに展示されている。しばらくは、モノクロのみでお散歩撮影をしてみよう。

June 13th, 2021 Toyosaki’s blog