デジタルサイネージのコンテンツ制作ブログ
デジタルサイネージ・クリエイティブ・シンクタンク ー ページ1

デジタルサイネージのコンテンツ制作ブログ

はじめに

デジタルサイネージのコンテンツ制作サイト「ピクトパスカル」を立ち上げて、1年半になる。
これまではサイトの構築と基本コンテンツの制作に追われ、オリジナルコンテンツの制作が遅れてしまった。
もちろんこれまでのコンテンツもオリジナルコンテンツだが、ここでいうオリジナルコンテンツとは、
ゼロからの動画撮影であり、今までにはない新しいコンテンツの見せ方や表現方法の演出だ。
サイト運営が本業では無いことを言い訳にズルズルと先延ばしにしてきたオリジナルコンテンツの制作を
いよいよ始めることになり、これをきっかけにデジタルサイネージのコンテンツ制作ブログをスタートさせた。
制作のアイデアや撮影現場のリポートなど、書きたいことは山ほどあるがネックなのは文章が苦手なことだ。
制作現場はシークレットゾーンが多いのでブログはコンテンツのアップ後の投稿が多くなると思うし
これまでに経験した現場でのエピソードやつまらない昔話も出てくることはご了承いただきたい。
デジタルサイネージの制作に関わる多くの方のひとりにでも何か参考になることがあれば幸いである。

サイト運営会社 株式会社RUN&GUN

代表取締役 豊﨑 竜信


デジタルサイネージのコンテンツ制作ブログ

ブログ#009 デジタルサイネージとミケランジェロ

尊敬する芸術家は?との質問には、わたしは決まって「ミケランジェロ」と答える。フィレンツェを訪れた時に見た「ダビデ像」や、ヴァチカン美術館で見たミケランジェの大作であるシスティーナ礼拝堂の天井画に触れた歓喜は忘れられない。ミケランジェロは今で言うプロジェクション・マッピングの先駆者だったのかも知れない。デジタルサイネージではないが、私がとあるイベントの演出を担当した時に、会場の天井に「システィーナ礼拝堂の天井画」をプロジェクターで投影したことがある。イメージはシスティーナ礼拝堂のように天井一面を覆う荘厳な絵巻だったが、当時は今のような高輝度のDLPプロジェクターは存在しなくブレンディングの技術もなかったので「PIGI」という重量160kgの高輝度のスライドプロジェクターを使用した。結果、単焦点レンズの問題もあり、天井の一部にしか投影できなかったのである。20年も経った今でも、デジタルサイネージによるミケランジェロの天井画の再現はわたしの夢のひとつである。間味に溢れて心から敬愛してやまないミケランジェロの最後の作品である「ロンダニーニのピエタ」に彼の生き方や芸術に対する想いが詰まっていると感じててならない。最後にわたしが一番好きな彼の名言を紹介して終わりにする。「I saw the angel in the marble and carved until I set him free. 私は大理石の中に天使を見た。わたしはただ天使を開放しただけだ。」

December the 6th, 2019 Toyosaki’s blog


ブログ#008 デジタルサイネージ・ハザード(広告公害)

サイバー・コミュニケーションズ(CCI)はデジタルサイネージ広告の国内市場を予測し、2019年は749億円で2023年度には1248億円に達すると発表した。モニター・ディスプレイの台数としては10万台を超える見通しだ。デジタルサイネージが普及することは日本だけではなく世界を取り巻く情報化社会の中で当然なことであろう。しかし問題は普及した台数の数十数百倍のコンテンツが存在することだ。今でも新宿や渋谷など、大型ビジョンを中心に広告で埋め尽くされている街の景観が全てデジタルサイネージになったらどう映るであろうか。しかも全てが動画である。広告としての競争がエスカレートしたらより派手により目立つようにとなって行きかねない。これまでも繁華街には存在した「広告公害」が一気に広がって、まさに「デジタルサイネージ・ハザード」の危険にさらされかねない。そんな街で育つ子供に悪影響が及ばないとも限らない状況である。わたしたち制作者はクライアントの意向を形にしなければならないが、そこには「広告公害」に対するモラルが必要になる。これは単に政府がデジタルサイネージのガイドラインを決めて規制すればよいという話ではない。わたしもこれまで何度も自問自答して自らのガイドラインを定めてきたが、おそらくグレーゾーンもあったことだろう。これからもわたしたち制作者は、この「広告公害」と真摯に向き合い「デジタルサイネージ・ハザード」を阻止しなければならない。その心を持たない人にコンテンツを創る資格は無いとわたしは思っている。これは総務省が定めたデジタルサイネージ標準システム 相互運用ガイドラインである。参考にしていただきたい。

November the 29th, 2019 Toyosaki’s blog

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ブログ#007 ハードパワー vs ソフトパワー

ハードパワーとソフトパワーの概念が世界で注目を集めたのはかなり昔の話しであるが、2015年にジョセフ・ナイ元米国防次官補による、ハードパワーとソフトパワーとの概念の再定義は、ハードパワーは、武力行使、経済制裁はじめ「押す力」であり、ソフトパワーは、望む結果を引き出すために、課題の設定をし、説得し、魅力を感じさせる「引き寄せる力」であるという。さらにこれからはハードパワーとソフトパワーの統合が必要で成功の秘密は、その二つをいかに統合するかを理解した「スマートパワー」を提唱している。デジタルサイネージの世界にもこのハードパワーとソフトパワーが存在する。ハードパワーはディスプレイやシステムなどのハードウェアでソフトパワーはプログラミング能力やコンテンツそのものであろう。デジタルサイネージに限らず、世の中のほぼ全てに、このソフトパワーとハードパワーが存在している。そして日本はハードパワー先行の国と思ってしまうのはわたしだけではないであろう。もちろん技術革新は必要だし、世の中に生かされれば素晴らしいことである。しかし最後は「人」であることをハードパワーは忘れてはいけない。特に3.11以降、災害大国となってしまった日本でもソフトパワーに光をあててきている。ハードパワーとソフトパワーの統合が「スマートパワー」であるとしたら、日本はスマートパワー先進国になる使命と責任があるような気がしてならない。そしてデジタルサイネージにもその使命と責任があるであろう。

November the 22th, 2019 Toyosaki’s blog


ブログ#006 デジタルサイネージ vs アナログサイネージ

わたしはアナログ時代とデジタル時代の両方を経験した世代である。しかし物作りの基礎を学んだのはアナログ時代であった。アナログとデジタルの違いを簡単に説明すると、連続的なデータ量を扱う情報処理方式がアナログで、段階的なデータを扱うのがデジタルである。そして圧倒的に情報量が多いのはアナログだ。デジタルサイネージに対してアナログサイネージとは、まさに「看板」である。看板の他にも「ポスター」や「のぼり」などの印刷物もふくまれるであろう。しかし現在の制作行程はほぼデジタル作業であるから、最終の広告媒体がディスプレイか、紙や布や板かの違いでしかない。そこに大きな違いがあるとすれば「動く」ことと「プログラム」できることであろう。この違いは広告媒体としては雲泥の差があるのだが、広告そのもののクオリティーや価値観から見ると両者にはさほど違いはないと思う。何十年も変わらないが魅力的な看板などはそれだけで大きな価値があるだろう。デジタル時代に比べてアナログ時代の苦労話は尽きないが、それはほとんどが作業時間の問題であって創作そのものプロセスは大きく変わってはいない。音楽であれ、映像であれ、文学であれ、造形であれ「創造」する事の楽しさや苦しみにデジタルもアナログもない。ただ創造された作品の発信方法が違う。デジタル社会にしかできない情報発信によって、創造された作品そのものの価値さえ変わってしまうし、価値がある時間さえも一瞬でしかない場合も増えてくるだろう。良い作品が長く生き残れない時代を生きるしかない私がやりたいことは、息の長いアナログサイネージをデジタルサイネージで創造することかな?いつかできるといいな。

November the 15th, 2019 Toyosaki’s blog

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ブログ#005 デジタルサイネージとグレースケール

デジタルサイネージの撮影現場でホワイトバランスを取る「道具」がグレースケールであることは前回お話ししたが、これがなんでこんなに高価なのか?日本であれば「村上色彩技術研究所」のグレースケールが最も有名で信頼できる。黒から白までのグレートーンを手塗りで仕上げる技術は村上色彩技術研究所にしか作れないとみんな思っている。「こんなものPhotoshopで作って高級印画紙にプリントすればいいんじゃないの?」と思ってはいけない。正確な波形モニターで見れば偽物だとすぐにバレてしまう。私はデジタルサイネージのコンテンツ制作以外でも中継の仕事もやっていたので今までに何百人というカメラマンが映したグレースケールを見てきただろうか?もちろん私はVEでないので波形モニターとにらめっこするわけではないし、スタッフが本番前に気持ちをセットアップするひとつの儀式のような意味合いが多かったように思う。こんな中とあるスタジオ収録に顔を出すと、久しぶりに大先輩カメラマンがスタッフィングされていた。そして、そのカメラマンが映したグレースレールに度肝を抜かれたのだ。なんと美しいグレースケールなのか?な私は率直に「こんな美しいグレースケールは今までに見たことが無い」と先輩に話した。その先輩は静かに笑っていただけであった。隣にいた、これも大先輩の編集マンさんが私に「おっディレクターさん、そんな気遣いも言えるようになったか?成長したな」と茶化したのであった。私は本番スタッフではなかったのでスタジオを後にしたが、しばらくあの美しいグレースケールが頭から離れなかった。それからしばらくしてそのカメラマンは病に冒され他界した。偉大なる大先輩カメラマンが私に残してくれたラストカットは、世界で一番美しいグレースケールであった。

November the 8th, 2019 Toyosaki’s blog


ブログ#004 デジタルサイネージと色温度

デジタルサイネージに限らず、映像の「色」には「温度」がある。簡単に言うと「白」には「赤い白」と「青い白」がある。いわゆるホワイトバランスだ。複数台のカメラで撮影する時にはこのホワイトバランスを取っておかなければ編集で色味が合わなくなり大変な事になる。なのでVE(ビデオエンジニア)さんは、しっかりと時間を取って正確なグレースケールと波形モニターを使って色調整をする。今時の編集ソフトは優秀でゴマカシがきくが本来は重要な撮影セオリーなのだ。しかしENGなどの取材現場ではグレースケールを使わずに適当なコピー用紙などでホワイトを取るカメラマンも多くいる。こだわりが無いのでは無く、言ってしまえば見るディスプレイによって再現される色は正確ではない事がほとんどである。数十万円もするスタジオのマスターモニターぐらいにならないと正確な再現は出来ないであろう。もっと言ってしまえば、映像を見る人間の目にも色温度があり、しかも左右で温度が違う。さらに男女でも違う。女性は男性の3倍もの「赤」を見分けることができるのだ。コスメショップで何十本も並んでいるルージュでお気に入りの1本を探すのであるから納得がいく。極論から言うと作られた映像の色は、見る人や、デジタルサイネージのディスプレイによって全部違って見えていることになる。だからこそ撮影時には正確なホワイトバランスを取って作品に望むことが大切だと私は思う。#001で書いたブランド「C」で化粧品の仕事を10年続けられたのは、私が「赤」を見分けられる目を持っているからだと「C」の担当者がお世辞を言っていた。もしそれが本当であればそんな目を持つ人間として産んでくれた母に感謝するしかない。しかし今は老眼と白内障で色も形も不正確極まりない人生の曲がり角に立っている。いや立っているのはしんどいので座っている。

November the 1st, 2019 Toyosaki’s blog

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ブログ#003 デジタルサイネージと屋久島・縄文杉

屋久島といえば1993年に世界遺産(自然遺産)に登録され年間等して観光客の絶えない日本を代表するパワースポットである。特に樹齢7200年(諸説有り)を超える縄文杉は幹の周囲が16.4mもあり波打つヒダとコブに覆われている屋久島の象徴的な杉である。私も2度撮影に訪れているが、その存在感に圧倒されたものだ。初めて訪れた時は通常のビデオ収録であったので当然16/9の横画面撮影である。美しい森や透き通った川、屋久猿や屋久鹿などの動物など被写体に困ることはなく順調に縄文杉を目指した。しかし縄文杉を目の当たりにして困ったのが横画面ではその迫力を捉え切れないのだ。もちろんそんな事は百も承知で望んだのだが、ティルトアップしても画が決まらず、樹齢7200歳の仙人の前では私は無力な44歳の赤子であった。10年前に2度目のプライベート撮影に臨む。今度は全てが縦構図での撮影に挑戦した。これがデジタルサイネージのコンテンツ制作の依頼だったら面白かったが、当時はまだ縦型ディスプレイのデジタルサイネージは海外ブランドショップのウインドで流されていたファッションショーぐらいであった。動画制作に携わっていてスチールカメラマンに嫉妬していたのは、この「縦構図」で動画作品が作れないことであった。屋久島で収録した縦ムービーを編集して完成させた時には、今までにない満足感と色々な発想が溢れてきた。いずれは普及する縦型ディスプレイのデジタルサイネージ時代に思いを馳せたのが屋久島・縄文杉であった。

October the 25th, 2019 Toyosaki’s blog


ブログ#002 はじめての街頭ビジョン

私が初めて手がけた街頭ビジョンのコンテンツは、2002年にNHKから依頼された「OC・表参道コレクション15秒CM」であった。「OC」とは表参道を拠点とするヘアサロンのTOP20サロンで行うヘアーショーである。この年がスタートだったのでもう18年にもなる。初回ということもありイベント告知で街頭ビジョンを使用したのだ。記憶では、渋谷109、原宿駅前、ラフォーレと、もうひとつあったかな?当時としては4カ所同時に告知することは珍しく、さすがNHKの力はすごいと思ったものだ。署名デザイナーにロゴを制作してもらい、スタイリストの撮影やナレーションと、そこそこの予算で行った。当時はまだデジタルサイネージという言葉もなく「街頭ビジョン」とか「ビデオサイン」と呼ばれていた。自分が制作した映像コンテンツが渋谷や原宿で一般の人に見られることに歓びを感じたものであった。しかし大変だったのはその後の仕事。実はイベントそのものをNHKが行っていたのでヘアーショーの映像も制作しなければならない。しかもこちらはサロンの予算なのでお友達価格。ホームビデオで撮影したり、編集、音楽制作、ナレーション収録などなど、ほぼひとりの作業で毎日徹夜が続いていた。今ではPC1台で何でも出来る時代になったが、当時はアナログからデジタルへの転換期でもあり、PCの性能もかなり低かった。10秒の簡単なタイトルCGのレンダリングに3日もかかったと記憶している。音楽編集もオープンリールで録音したテープをカミソリでカットしてスプラッシングテープで貼り付ける方法。失敗したら録音からやり直しでゴミ箱は6mmテープの残骸であふれていた。まあ、そういう修行を重ねたことによってデジタルになった時代は無駄な作業は少なくて済んでいることは確か。その後10年間「OC」の仕事も続いたが、今は優秀な後輩に任せている。

October the 18th, 2019 Toyosaki’s blog

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